○津山市公用文規程

令和5年3月22日

津山市訓令第3号

津山市公用文規程(昭和62年津山市訓令第27号)の全部を改正する。

(目的)

第1条 この訓令は、別に定めるもののほか本市における公用文の表記、用語、文体及び例式を定めることにより、公用文を、正確で、分かりやすく、気持ちに配慮したものとするとともに文書事務の適正かつ能率的な処理を図ることを目的とする。

(表記の原則)

第2条 公用文は、現代仮名遣い(昭和61年内閣告示第1号)による漢字平仮名交じり文を基本とし、特別な場合を除いて左横書きとする。

2 漢字の使用は、公用文における漢字使用等について(平成22年内閣訓令第1号)に基づき、現代の国語を書き表すための漢字使用の目安(常用漢字表)(平成22年内閣告示第2号。以下「常用漢字表」という。)の本表及び付表(表の見方及び使い方を含む。)による。

3 固有名詞は、次のとおり常用漢字表にない漢字を使用することができる。

(1) 地名は、通用している書き方とする。

(2) 人名は、原則として、本人の意思に基づいた表記とする。

第3条 常用漢字表の字種及び音訓で書き表せない語は、次のように書く。

(1) 訓による語は、平仮名で書く。

例 敢(△)えて→あえて 予(△)め→あらかじめ 或(×)いは→あるいは 未(△)だ→いまだ 嬉(△)しい→うれしい 概(△)ね→おおむね 自(△)ずから→おのずから 叶(×)う→かなう 叩(×)く→たたく 経(△)つ→たつ 為(△)す→なす 捗(△)る→はかどる 以(△)て→もって 宜(△)しく→よろしく 坩堝(××)→るつぼ

(2) 音による語でも、漢字を使用しないで意味の通るものは、そのまま平仮名で書く。

例 斡(×)旋→あっせん 億劫(×)→おっくう 痙攣(××)→けいれん 御馳(×)走→ごちそう 颯(×)爽→さっそう 杜撰(××)→ずさん 石鹸(×)→せっけん 覿(×)面→てきめん 咄嗟(××)→とっさ 煉(×)瓦→れんが

(3) 動植物の名称を一般語として書くときは、常用漢字表にないものは仮名で、常用漢字表にあるものは漢字で書く。学術的な名称としては、慣用に従い片仮名で書くことが多い。

例 ねずみ(ネズミ) らくだ(ラクダ) すすき(ススキ) 犬(イヌ) 牛(ウシ) 桑(クワ) 桜(サクラ)

(4) 常用漢字表の同じ訓を持つ漢字を使用して書く。

例 活(△)かす→生かす 口惜(△△)しい→悔しい 歎(×)く→嘆く 拓(△)く→開く 解(△)る→分かる 仇(×)→敵 想(△)い→思い 哀(△)しい→悲しい 真(△)に→誠に

(5) 常用漢字表の同じ音を持ち、意味の通じる漢字を使用して書く。

例 恰(×)好→格好 義捐(×)金→義援金 車輛(×)→車両 煽(×)動→扇動 碇(×)泊→停泊 画像(×)覆→転覆 杜(×)絶→途絶 日蝕(×)→日食 脳裡(×)→脳裏 煉(×)乳→練乳

(6) 常用漢字表にある漢字を使用した言葉で言い換える。

例 軋轢(××)→摩擦 改悛(×)→改心 竣(×)工→落成、完工 剪(×)除→切除 捺(×)印→押印 誹謗(××)→中傷、悪口 逼(×)迫→切迫 罹(×)災→被災 論駁(×)→反論

(7) 同じ意味の分かりやすい言い方で言い換える。

例 安堵(×)する→安心する、ほっとする 塵埃(××)→ほこり 脆(×)弱な→弱い 庇(×)護する→かばう 酩酊(××)する→酔う 凌駕(××)する→しのぐ、上回る 漏洩(×)する→漏らす

(8) 他に言換えがない、又は言換えをしては不都合なものは、常用漢字表にない漢字だけを平仮名書きにする、又はその漢字をそのまま使用して振り仮名を付ける。

例 改竄(×)→改ざん、改ざん 絆(×)きずな、きずな 牽(×)引→けん引、けん引 口腔(×)→口くう、口くう 招聘(×)→招へい、招へい 綴(×)る→つづる、つづる 綴(×)じる→じる、とじる

化学用語など片仮名を用いる場合もある。

例 燐(×)酸→リン酸 沃(×)素→ヨウ素 弗(×)素→フッ素

(9) 常用漢字表にない漢字及び音訓を使用するときは、その漢字の上部に振り仮名を付ける。ただし、文書全体で当該漢字を複数回使用する場合においては、初出の漢字(題名、見出し等を除く。)のみ振り仮名を付ける。

例 忸怩じくじたる思い 目標へまい進する 指揮者を招へいする 未来をひら

振り仮名を使用することが難しい場合は、その漢字の後に括弧に入れて示すことができる。この場合において、原則として熟語についてはその全体の読み方を示すものとする。

例 忸怩(じくじ)たる思い 目標へ邁進(まいしん)する 指揮者を招聘(しょうへい)する 未来を拓(ひら)

2 書き表そうとする語に使える漢字及びその音訓が常用漢字表にある場合には、その漢字を用いて書くのが原則である。ただし、例外として常用漢字表に使える漢字があっても仮名で書く場合は、次のとおりとする。

(1) 次のものは、仮名で書く。

 助詞及び助動詞

例 位→くらい(程度) 程→ほど(程度) 等→など(例示。「等」は「とう」と読むときに用いる。) の様だ→のようだ (やむを得)無い→ない

 動詞、形容詞などの補助的な用法

例 して行く→していく して頂く→していただく して下さる→してくださる して来る→してくる して見る→してみる して欲しい→してほしい して良い→してよい

 形式名詞

例 事→こと 時→とき 所・処→ところ 物・者→もの

 指示代名詞

例 これ それ どれ ここ そこ どこ

 漢字の持つ実質的な意味が薄くなっているもの

例 有難う→ありがとう(ただし、「有り難い」は漢字で書く。) お早う→おはよう 今日は→こんにちは 逆様→逆さま

 当て字及び熟字訓(常用漢字表の付表にある語を除く。)

例 何時→いつ 如何→いかん 思惑→思わく 流石→さすが 素晴らしい→すばらしい 煙草→たばこ 一寸→ちょっと 普段→ふだん 滅多→めった

 その他

例 共→とも(「するとともに」等。ただし、「彼と共に」などは漢字で書く。)

(2) 仮名書きを基本とするが一部のものは漢字で書く。

 接続詞

例 さらに(副詞の「更に」及び「更なる」は漢字で書く。) しかし しかしながら したがって(動詞の「従う」は漢字で書く。) そして そうして そこで それゆえ ただし ところが ところで また(副詞の「又」は漢字で書く。)

漢字を使って書く接続詞

例 及び 又は 並びに 若しくは

 連体詞

例 あらゆる ある(日) いかなる いわゆる この その どの

漢字を使って書く連体詞

例 来る(きたる) 去る 当の 我が

 接頭辞・接尾辞

例 お菓子 お願い(「おん(御)」及び「ご(御)」は漢字で書く(「御中」、「御礼」、「御挨拶」、「御意見」等)。ただし、常用漢字表にない漢字を含む語は、仮名書きし、「御」も仮名で書く(「ごちそう」、「ごもっとも」等)。)

惜しげもなく 二人とも 私たち 僕ら もったいぶる 説明ぶり 有り難み

(3) 動詞、副詞及び形容詞は、漢字で書くことを基本とするが一部のものは仮名で書く。

 動詞のうち仮名で書くもの

例 居る→いる 出来る→できる(「利用ができる」。ただし、「出来がよい」などは漢字で書く。) 成る→なる(「1万円になる」。ただし、「歩が金に成る」、「本表と付表から成る」などは漢字で書く。)

 副詞のうち仮名で書くもの

例 色々→いろいろ 概ね→おおむね 自ずから→おのずから いかに いずれ かなり ここに 沢山→たくさん 丁度→ちょうど とても やがて 余程→よほど わざと わざわざ

 ある(動詞)・ない(形容詞)

例 有る・在る→ある 無い→ない(「問題がある」、「欠点がない」などは仮名で書く。「有無」の対照、「所在・存在」の意を強調するときは、「財産が有る」、「有り・無し」、「在り方」、「在りし日」、「日本はアジアの東に在る」など漢字で書く。)

(4) 常用漢字表にあっても法令にならい仮名で書く。

例 虞→おそれ 且つ→かつ 但し→ただし 但書→ただし書 外・他→ほか 因る→よる

(5) 読み手への配慮や社会の慣用に基づいて、仮名を使う場合もある。

次に例示するような語を公用文で用いる際には、漢字を用いて書くことになっているが、必要に応じて仮名で書くことがある。

例 接頭辞「御」(御指導→ご指導 御参加→ご参加)

接続詞(及び→および 又は→または 並びに→ならびに 若しくは→もしくは)

副詞(飽くまで→あくまで 余り→あまり 幾ら→いくら 既に→すでに 直ちに→ただちに 何分→なにぶん 正に→まさに)

第4条 送り仮名は漢字に添えて読み誤りを防ぎ、意味を明確にする効果がある。原則として、送り仮名の付け方(昭和48年内閣告示第2号)本則及び例外による。

2 活用のない別表第1の複合の語については、誤読等のおそれがないため、送り仮名を省くものとする。

3 文書の性格や読み手に配慮し、送り仮名を省かずに書くこともできる。

例 公用文表記の原則 売場 期限付 手続 雇主

学校教育で学ぶ標記 売り場 期限付き 手続き 雇い主

第5条 外来語の表記は、外来語の表記(平成3年内閣告示第2号)に基づいて書く。

2 日本語として広く使われている表記を用いる。

例 セロハン プラスチック デジタル

3 必要な場合には、言語の発音に近づくように書く。この場合において、原則として「バビブベボ」を用い、「ヴ」は用いない。

例 ウエイト ウェブ クォーク フュージョン

4 長音は、原則として長音符号を使って書く。

例 エネルギー オーバーコート グループ ゲーム ショー メール

ただし、次のようなものは慣用に従い、長音符号を用いずに書く。

例 バレエ(舞踊) ミイラ エイト ペイント レイアウト

第6条 数字の使い方は、次のとおりとする。

(1) 横書きでは、算用数字を用いる。

例 令和2年11月26日 午後2時37分 72%

(2) 四桁以上の数は、三桁ごとに「,(コンマ)」で区切る。

例 5,000 62,250円 1,254,372人

(3) 兆・億・万の単位は、漢字を用いる。なお、単位の漢字と算用数字を合わせて使う場合は、「,(コンマ)」を省いてもよい。

例 1億2,644万3,000人/1億2644万3000人

(4) 全角又は半角は、文書内で使い分けを統一する。

(5) 概数は、漢数字を用いる。

例 二十余人 数十人 四、五十人(算用数字で統一する場合は、「20人余り」「40~50人」など)

(6) 語を構成する数及び常用漢字表の訓による数え方などは、漢数字を用いる。

 熟語、成語及びことわざを構成する数

例 二者択一 千里の道も一歩から 三日坊主 再三再四 幾百 幾千

 常用漢字表の訓又は付表の語を用いた数え方

例 一つ、二つ、三つ 一人(ひとり)、二人(ふたり)

一日(ついたち)、二日(ふつか)、三日(みっか)

一間(ひとま)、二間(ふたま)、三間(みま)

 他の漢字と置き換えられない数

例 三権分立 六法全書 七福神 二十四節気

 歴史、伝統文化、宗教等の用語

例 前九年の役 三国干渉 三代目坂田藤十郎 お七夜 七五三 四十九日

(7) 縦書きする場合には、原則として次のように漢数字を省略せずに用いる。

例 令和二年十一月二十六日 千九百八十三年 二時三十七分 七十二・三パーセント

(8) 縦書きされた漢数字を横書きで引用する場合には、算用数字にする。

例 なお、昭和五十六年内閣告示第一号は廃止する。

→なお、昭和56年内閣告示第1号は廃止する。

(9) 算用数字を用いる横書きでは、次のように書く。

例 ○か所 ○か月

(10) 数字に係るその他の事項

 「以上」、「以下」、「以前」及び「以後」は、起算点となる数量、日時等を含む場合に用いる。

例 100人以上/以下(100人を含む。)

5月1日以前/以後(5月1日を含む。)

 「超える」、「未満」、「満たない」、「前」及び「後」は、起算点となる数量、日時等を含まない場合に用いる。

例 100人を超える/未満・満たない(100人を含まない。)

5月1日前/後(5月1日を含まない。)

 起算点による期間の使分けを行う。

例 満5年、5か年、5年ぶり、5周年(まるまる5年。「~年ぶり」は、前の開催年の翌年から数えて、今回の開催年を含む。)

5年目、5年掛かり、5年来、5年越し(起算の年を含んで5年)

第7条 符号の使い方は、次のとおりとする。

(1) 句点には「。(マル)」、読点には「、(テン)」を用いることを原則とするが、横書きでは事情に応じて読点には「,(コンマ)」を用いることができる。この場合において、「、」と「,」が混在しないようにする。また、学術的又は専門的に必要な場合等を除いて、句点に「.(ピリオド)」は用いない。

(2) 「・(ナカテン)」は、並列する語、外来語、人名の区切り、箇条書きの冒頭等に用いる。

例 光の三原色は、赤・緑・青である。 ケース・バイ・ケース マルコ・ポーロ・項目1 七二・三パーセント

(3) 法令及び公用文で用いる括弧は、()(丸括弧)及び「」(かぎ括弧)を基本とする。()及び「」の中で、更に()及び「」を用いる場合にも、そのまま重ねて用いる。ただし、公用文において必要な場合は、「」の中で『』(二重かぎ括弧)を用いることもある。

例 「「異字同訓」の漢字の使い分け例」(平成26(2014)年文化審議会国語分科会報告)

(4) 括弧の中で文が終わる場合には、句点を打つ。

例 (以下「基本計画」という。) 「決める。」と発言した。

ただし、引用部分及び文以外(名詞、単語として使用、強調表現、日付等)に用いる場合には打たない。また、文が名詞で終わる場合にも打たない。

例 議事録に「決める」との発言があった。 「決める」という動詞を使う。

国立科学博物館(上野) 「わざ」を高度に体現する。

(5) 文末に括弧がある場合、それが部分的な注釈であれば閉じた括弧の後に句点を打つ。

例 当事業は一時休止を決定した。ただし、年内にも再開を予定している(日程は未定である。)

さらに、二つ以上の文又は文章全体の注釈であれば、最後の文と括弧の間に句点を打つ。

例 当事業は一時休止を決定した。ただし、年内にも再開を予定している。(別紙として、決定に至った経緯に関する資料を付した。)

なお、公用文の種類(解説、広報等)によっては、そこで文が終わっていることがはっきりしている場合に限って、括弧内の句点を省略することがある。

例 年内にも再開を予定しています(日程は未定です)

(6) 【】(隅付き括弧)は、項目を示したり、強調すべき点を目立たせる目的で多く使用される。文書内での用法を統一し、効果的に用いる。

例 【会場】文部科学省講堂 【取扱注意】

(7) その他の括弧等は、むやみに用いず、必要な場合には用法を統一して用いる。

第8条 表記に係るその他の原則は、次のとおりとする。

(1) 文の最初及び改行した直後の書き出しでは、原則として1字分空白にする。

(2) 繰り返し符号は、同じ漢字の繰り返しを示す「々」(同の字点(どうのじてん))のみを用いる。

例 並々ならぬ 東南アジアの国々 年々高まっている 正々堂々

ただし、複合語の切れ目に当たる次のような場合には、漢字1字の繰り返しであっても、「々」は用いずそのまま書く。

例 民主主義 表外漢字字体表 ○○党党首

また、2字以上の繰り返しは、そのまま書く。

例 ますます 一つ一つ 一人一人 一歩一歩 知らず知らず 繰り返し繰り返し

(3) 項目の細分と階層を適切に示す。

例 横書きの場合

画像

縦書きの場合

画像

(4) ローマ字表記等のアルファベットを用いる場合には、全角を用いるか、半角を用いるかについて定めはないが、使い分けを文書内で統一し、適切に用いる。

(5) 日本人の姓名をローマ字で示すときには、差し支えのない限り「姓-名」の順を用いる。

姓と名を明確に区別させる必要がある場合には、次のように示す。

例 YAMADA Haruo

名を1文字目だけで示す場合には、次のように示す。

例 Yamada H. YAMADA H. Yamada,H.

(6) 電子的な情報交換では、内容が意図するとおりに伝わるよう、漢字、丸囲み数字(①②③等)、単位記号、符号、半角カナ文字等の中に、電子的な情報交換の難しいものがあることに留意する。

(7) 使用する印刷文字(フォント)を工夫する。ユニバーサル・デザイン・フォントなどの様々な書体(デザイン)の中から、書体、色及び大きさの3点に留意し、読みやすい印刷文字を選択する。

(8) 略語は、元になった用語を示してから用い、必要に応じて説明を添える。

専門用語等を中心に、言葉の一部を省略することがある。

例 知的財産→知財 大学設置・学校法人審議会→設置審

Social Networking Service→SNS

特に専門的な知識を持たない人に向けて書く文書においては、略語だけを用いることのないようにする。外国語に基づく場合も同様とする。

例 知的財産(以下「知財」という。) クオリティー・オブ・ライフ(Quality of Life。以下「QOL」という。)

(9) 図表の示し方に一定の決まりはないが、一見して、その内容が分かるような示し方をする。グラフ及び表を作成する際には、示している内容を一言で表現する標題(タイトル)及び簡潔な説明(キャプション)を分かりやすい位置に付ける。

(用語の使い方)

第9条 法令及び公用文には、一般的な書き言葉とは異なる用法を持つ用語がある。法令に準ずる告示、通知等においては、それらの用語を正確に使用しなくてはならない。ただし、専門的な知識を持たない人に向けた解説、広報等の文書においては、より分かりやすく言い換える。

(1) 「及び・並びに」は、法令及び公用文で、複数の物事を結び付けたり、同時に採り上げたりすることを表す場合に、「と」という意味で用いる。「及び」を用いていない文では、「並びに」は用いない。公用文の種類によっては、特に「並びに」を用いないようにし、次に示すような言い換えをする。

 A及びB 二つの物事を結び付けたり、同時に採り上げたりする。

例 委員及び臨時委員→委員と臨時委員の両者

 A、B、C及びD 等しく扱うべき三つ以上の物事を結び付けたり、同時に採り上げたりする。

例 執筆し、編集し、印刷し、及び保存する。→執筆、編集、印刷、保存の全てを行う。

 A及びB並びにC(及びD) 三つ以上の物事を結び付けるなどの際に、結び付きの強さに段階がある場合、1段階目の結び付きには「及び」を、2段階目の結び付きには「並びに」を使う。

例 鉄道の整備及び安全の確保並びに鉄道事業の発達及び改善に配慮する。

→次に挙げること全てに配慮する。

・鉄道の整備と安全の確保

・鉄道事業の発達と改善

(2) 「又は・若しくは」は、法令及び公用文で、複数の物事のうち、いずれか一つを選ぶことを表す「か」という意味で用いる。「又は」を用いていない文では、「若しくは」は用いない。公用文の種類によっては、特に「若しくは」を用いないようにし、次に示すような言い換えをする。

 A又はB 二つの物事のうち、どちらか一方を選ぶ。

例 英語又は中国語→英語か中国語のどちらか一方

 A、B、C又はD それぞれの同格の三つ以上の物事の中から一つ選ぶ。最後に示す物事の前にだけ「又は」を用い、他は「、」とする。

例 物理、生物、化学又は地学を選択する。→物理、生物、化学、地学の4科目のうち、いずれか一つを選択する。

 A若しくはB又はC(若しくはD) 三つ以上の物事から一つを選ぶ際に、結び付きの強さに段階がある場合、1段階目の結び付きには「若しくは」を、2段階目の結び付きには「又は」を使う。

例 英語若しくは中国語又は数学若しくは理科を選択し受験する。

→次ののどちらか一方の方法を選択し、さらにそのうちで選んだ1科目を受験する。

ア 英語か中国語のどちらかを受験する。

イ 数学か理科のどちらかを受験する。

(3) 次の用語の使い方については、次のとおりとする。

 「場合」は仮定の条件又は既に定まっている条件を示し、「とき」は特定できない時間を表すほか、「場合」と同様に仮定の条件又は既に定まっている条件を示す。

例 内閣訓令第2号の「許容」に含まれる場合は 提出を求められたときは

前提となる条件が二つある場合には、大きい条件を「場合」で、小さい条件を「とき」で表す。

例 該当する漢字が常用漢字表にない場合であって、代用できる同音の漢字があるときは

 「直ちに・速やかに・遅滞なく」は、いずれも「すぐに」という意味である。そのうち、最も即時性が高く遅れが許されないときに「直ちに」、それよりも差し迫っていない場合に「速やかに」、また、正当な理由があれば遅れが許される場合に「遅滞なく」が用いられることが多い。

第10条 広く一般に知られていない専門用語は、用語の性質及び使う場面に応じて、次の三つの考え方に当てはめて、分かりやすく工夫する。

(1) 日常語に言い換える(一般的な言葉に置き換えて問題ない場合)

例 埋蔵文化財包蔵地(「文化財が埋まっている状態の土地」の意)→遺跡 頻回→頻繁に、何回も

(2) 日常語に言い換えることができない専門用語には、説明を付ける。

例 罹災証明書(支援を受けるために被災の程度を証明する書類)

(3) 今後、普及が望まれる専門用語には、説明を付けて、積極的に用いることにより普及を図る。

例 線状降水帯(発達した積乱雲が、次々に襲ってくる地帯のこと。そこでは、集中豪雨が起きます。)

SDGs(地球上の全ての人が幸せになるように誰もが協力して実現していく目標)

第11条 外来語の使用については、個々の外来語の性質、文書の目的及び読み手を考慮して、次に示す四つの考え方を参考にして対応する。

(1) 日本語に十分定着している外来語は、ほかの言葉に言い換えるよりもそのまま用いる方がよい。

例 ストレス ボランティア リサイクル

(2) 多くの人にとってなじみがなく読み手によっても分かりにくい外来語は、漢語(音読みの言葉をいう。以下同じ。)や和語(訓読みの言葉をいう。以下同じ。)に置き換えた方が分かりやすい場合がある。

例 アジェンダ→議題 インキュベーション→起業支援 インタラクティブ→双方向的 サプライヤー→仕入れ先、供給業者

(3) 一般になじみのない外来語の中には、重要な意味を持つ専門用語として使われていて、分かりやすく言い換えることが困難なものもある。そのような語は、そのまま用いた上で、その意味を分かりやすい言葉で明確に説明する。

例 インクルージョン(多様性を受容し互いに作用し合う共生社会を目指す考え方)は・・・

多様な人々を受け入れ、共に関わって生きる社会を目指す「インクルージョン」は・・・

(4) 外来語の中には、日本語として定着する途上のものがあり、そうした言葉は、簡単に言い換えることができる意味で使われることもあれば、簡単な言い換えでは表せない意味で使われていることもある。

例 リスクを減らす→危険性を減らす リスクを取る→あえて困難な道を行く、覚悟を決めて進む、賭ける

第12条 専門用語及び外来語は、次の事項を参考に説明する。

(1) 専門用語は、段階を踏んで説明する。

例 「(ダイオキシンに係る)耐用1日摂取量」の説明は次のように段階的に行う。

ア 体内に取り込んでも害のない1日当たりの摂取量

イ 生涯にわたって摂取し続けても身体に害のない、1日当たりの摂取量。含まれていることがあらかじめ分かっていない物質について言う。

ウ 含まれていることがあらかじめ分かっている物質については、「許容1日摂取量」という。

(2) 専門用語の中には、言葉自体はよく知られていても、意味が知られていないものがある。

例 グループホーム:認知症患者が専門スタッフの援助を受けて共同生活する家

(3) 専門用語として使われる言葉の中には、それと同じ言葉が日常語でも使われることにより、専門用語の意味が、日常語の意味に誤解されることがある。誤解の危険性がある言葉の場合は、その混同を避けるために、必ず専門用語としての意味を付けるようにする。

例 ショック:(医学)血圧が下がり、命の危険がある状態のこと/(日常)急な刺激を受けること

善意:(法律)ある事実について知らないこと/(日常)親切心、優しさ

悪意:(法律)ある事実について知っていること/(日常)人を傷つけようという意図

社員:(法律)株主などを含む社団法人等の構成員/(日常)会社等に雇われている人

清潔:(医学)滅菌された状態のこと/(日常)汚れがなくきれいなこと

貧血:(医学)血液内の赤血球が不足していること/(日常)立ちくらみなどが起こること

出場:(行政)消防車などが現場に行くこと。出勤/(日常)大会などに出ること

雰囲気:(化学)ある特定の気体やそれで満ちた状態/(日常)その場面にある気分や空気

第13条 紛らわしい言葉は、次の事項を参考に取り扱う。

(1) 同音の言葉については、誤りなく仮名漢字変換する。また、口頭で伝えたり、音声サービスに用いたりする場面も想定し、必要に応じて意味の分かる言葉で言い換える。

例 干渉/勧奨 信条/身上 服する/復する/伏する

さらに、音が同じであるだけでなく、字形も似ている漢字は、文章を目で追う際にも、取り違えやすい。同音の語の存在を常に意識し、混同されないように言葉を選ぶ。

例 偏在/遍在 補足/捕捉 排外/拝外

(2) 常用漢字表の漢字のうち、異なる漢字でありながら同じ訓を持つものの使い分けについては、「異字同訓」の漢字の使い分け例(平成26年文化審議会国語分科会報告)を参考にして書き分ける。ただし、同訓の漢字については、明確に使い分けを示すことが難しい場合があり、年代差、個人差、各分野における表記習慣の違いなどもあるため、必要に応じて仮名で表記してよい。

例 テントを張る 切手を貼る リンクを張る/貼る 壁にタイルを貼る/張る 組織を作る 道路を造る 新たな文化を創る 人をつくる 街づくり

(3) 時や場所の起点を示すには「から」を用いて、「より」は用いない。起点は「から」、比較は「より」で使い分ける。

例 東京から京都まで 午後1時から始める 恐怖から解放する 長官から説明がある 東京より京都の方が寒い 会議の開始時間は午前10時より午後1時が望ましい

(4) 数及び量に関わるものは、できる限り具体的な数字で示す。また、時期についても、明確な日付及び時間を示せば、誤解が起こらない。期間や区間を表す際にも、起点及び終点を示すようにする。

例 幾つか指摘する→3点指摘する 少人数でよい→3人以上でよい 早めに→1週間以内(5月14日正午まで)に 本日から春休みまで→本日から春休み開始まで/本日から春休みが終了するまで

ただし、一定の期間を見通すことができないような場合には、「当分の間」、「当面」等を用いる。

(5) 公用文においては、文中に示したものだけに限定されないことを表すために、「等」「など」「ほか」「その他」といった語を用いる場合がある。この場合には、具体的に挙げるべき内容を想定しておく。なお、例のように、言葉を包括的に言い換える方法もある。

例 遺跡の保存・活用等の実施→遺跡の保存・活用に関わる取組の実施

(6) 意味が重複する表現は、むやみに用いないようにする。

例 諸先生方→諸先生、先生方 各都道府県ごとに→各都道府県で、都道府県ごとに 第1日目→第1日、1日目 約20名くらい→約20名、20名くらい 違和感を感じる→違和感を覚える、違和感がある

ただし、慣用になっていたり強調などのために用いたりする場合もあるため、一概に誤りとも言えないものがある。

例 従来から→従来 まず最初に→最初に 返事を返す→返事をする 排気ガス→排ガス 被害を被る→被害を受ける

(7) 回りくどい言葉遣いにならないように、必要のない言葉は削り、すっきりした表現にする。強調したい言葉であってもむやみに繰り返さない。

例 利用することができる→利用できる 調査を実施した→調査した 問題があるということになる→問題がある

また、物事を並べて書くような場合には、意味を明確にする必要があるときを除いて、省略できる部分を削る。

例 教育費の増加と医療費の増加により→教育費と医療費の増加により 話し言葉によるコミュニケーション及び書き言葉によるコミュニケーション→話し言葉と書き言葉それぞれによるコミュニケーション

第14条 文書の目的及び媒体に応じた言葉の使い方については、次の事項を参考にする。

(1) 文書には必ず目的があり、目的が異なれば期待される書き方も異なる。法令に準ずるような文書及び地方自治体間でやり取りする文書と、広く一般向けに向けた文書とでは、読み手が異なることを意識する。

例 (法令)喫緊の課題/(一般)すぐに対応すべき重要な課題

(法令)可及的速やかに/(一般)できる限り早く

(2) 日本語を母語としない人々に対しては、聞き取りやすく読みやすい日本語(やさしい日本語)を用いる。

(3) 広く一般の人に向けた解説、広報等の場合、適切な敬語などの待遇表現(相手及び場面に応じた気遣いの表現)も必要になってくる。この場合、程度の高い敬語を使えばよいというものではなく、文書の公的な性格を前提として、分かりやすく正確に情報を伝えるという観点から過剰な表現は避ける。助動詞「(ら)れる」を用いる程度の言い方を標準とする。

例 御利用たまわる際には→利用される際には

(4) SNSなど様々な媒体を通した情報発信を行う際、読み手の関心を踏まえ、使用する媒体に応じて書き方を工夫する。この場合において、広い意味での公用文であることを意識して一定の品位を保つとともに、文法の枠組みから外れたり、誤りとされる慣用表現及び語句を用いたりしないようにする。

第15条 読み手に違和感や不快感を与えない言葉の使い方については、次の事項を参考にする。

(1) 基本的人権に配慮するため、性別、職業、地位、信条、宗教、地域、人種、民族、心身の状態、身体的な特徴などに関して、誤解を与えるような表現を慎むことに加えて、性に対する意識が多様化している状況を踏まえた配慮も必要である。

例 女医 女流 女史

(2) 違和感及び不快感を与えない文書を作成するためには、特定の用語を避けるだけでなく、言葉及び表現自体には問題がなくても、使用する場面、状況及び組み合わせによって、読み手(当事者を含む。)に対して不快な思いをさせたり、違和感を与える場合があることを認識し、自分が当事者になったときを想像し、文書を作成する。

例 ~くらいであれば ~にも可能である

このような表現は、それが容易であることを強調するものであるが、その行為及び能力を軽んじる意味合いに読み取られる場合があることに注意する。

(3) 慎重な検討を行うことなく、その言葉や表現が偏見や差別につながると判断することないようにする。字面の印象にとらわれたり、意味が誤解される可能性があると過剰に気にして、やみくもに言葉の使用を規制・禁止することなく、問題の実態を的確に捉えるように努め、読み手や当事者に寄り添ったふさわしい言葉や表現を用いる。

(4) 公用文は、原則として共通語を用いて書く。ただし、方言の持つ価値を尊重し、効果が得られる相手及び場面によっての活用を考えることも必要である。

第16条 用語の使い方における表現の工夫として、次のような事項が考えられる。

(1) 漢語は聞き取りにくいものが多いため、必要に応じて円滑に理解できる和語に言い換える。また、常用漢字が使える言葉にすれば、表記も分かりやすくなる。

例 橋りょう→橋 塵埃じんあい→ほこり 眼けん→まぶた

(2) 漢字1字による漢語の動詞には、文語に基づくものが多く、聞き取りにくく堅苦しい語感を持つものがある。法令によく用いられる表現であっても、解説、広報等でむやみに用いることは避ける。

例 模する→似せる 擬する→なぞらえる 賭する→賭ける 滅する→滅ぼす

(3) 文書の重厚感を増し、改まった雰囲気にするには、和語の動詞を漢語にすると効果が得られることがある。

例 決める→決定(する) 消える→消失(する)

語の意味をより正確に表現したいときに、漢語を用いることが有効である場合がある。特にスペースの限られた見出しなどでは、漢語を活用することで、意味を端的に伝えることができる。

例 性質が変わる→性質が変化する プログラムが変わる→プログラムが変更される街並みが変わる→街並みが変容する

ただし、分かりやすさや親しみやすさを妨げるおそれがあることに留意する。

(4) 事務的及び専門的な文書では、漢語を用いた方が正確に改まったものになるとしても、解説、広報等では堅苦しい上に、読み手にとって意味がすぐには浮かばない場合もある。分かりやすく、親しみやすい文書にするには、述部に和語の動詞を活用するとよい場合がある。

例 作業が進捗する→作業がはかどる、作業が順調に進む、作業が予定どおりに運ぶ

ただし、和語の動詞は意味の範囲が広いため、厳密に意味を特定しなければならないときには不向きなこともある。

(5) 挨拶等の決まりきった言い回しが長くなると、文書の本質が明確にならないことがある。また、公用文の構成においては、冒頭で根拠となる法令を引用する型(紋切り型)がよく用いられる。また、国からの通知文書を参考にした場合、紋切り型の表現及び構成になる場合があるが、読み手にとって本当に必要なものに限って使うようにする。ただし、公用文においては、紋切り型が読み手を安心させる効果を生む場合もあり、決まった型に従った方がより的確に伝えることができるときがある。

第17条 伝わる公用文を作成するためには、次の事項を参考にする。

(1) 文体の選択については、次のとおりとする。

 法令、例規、告示等の文書は常体(である体)を用いる。その一方で、通知、依頼、照会、回答等の特定の相手を対象とした文書では敬体(です・ます体)を用いることを目安とする。

 一つの文書内では、文末表現に常体及び敬体を混在しないように、どちらか一方で統一する。ただし、引用、従属節、箇条書等にする部分に異なる文末表現を用いることは問題ないものとする。

 常体の使用について、公用文では論理的に結論を導き出すような文章にふさわしい「である・であろう・であった」を用いる。また、解説、広報等の広く一般に示す文書等では「だ・だろう・だった」を親しみやすさを示すために用いる場合もある。

 公用文には、一定の格式が求められるが、そのために文語調を用いることは避け、口語で表現する。特に解説、広報等の文書では親しみやすいものとなるように書く。

例 ~のごとく→~のように 進まんとする→進もうとする 動かすべからざる原則→変えられない原則 大いなる進歩→大きな進歩 ~しつつも→~しながらも ~とみなし→~とみて

 「べき」は、「~するべき」ではなく「~すべき」の形で用いる。

(2) 標題及び見出しの付け方については、次のとおりとする。

 何について書かれた文書であるのかが一目で分かるように、標題(タイトル)には、主題となる案件を示す言葉を入れる。鍵となる言葉は、できるだけ具体的なものとし、取り上げる事柄を特定できるようにする。また、その主題についてどのようなメッセージを送るのか、報告、提案、回答、確認、開催、許可等の言葉を使って文書の性格を示す。特に解説、広報等では「~について」とせずに、より具体的な表現を用いるとよい。

例 新国立体育館について→新国立体育館建設工事の進捗状況に関する報告

予算の執行について→令和2年度文化庁予算の執行状況(報告)

文化審議会について→第93回文化審議会(令和2年11月22日)を開催します

 本文内の見出しは、短い文書であれば必ずしも必要ではない。しかし、複数の論点があるとき、文書の分量が多いときには、内容のまとまりごとに、論点を簡潔に示す見出しを付けるとよい。見出しは、回りくどい言い方や飾りの多い言葉遣いは避け、内容の中心となるところを端的に言い表すものとする。

 見出しを階層化することで全体の構造をつかむことができ、文書全体が読みやすくなる。

例 Ⅲ 伝わる公用文のために ・・・大見出し

Ⅲ―2 標題、見出しの付け方 ・・・中見出し

 中見出しや小見出しを活用する・・・小見出し

 読み手は、標題から文書の主題と性格を理解した上で読み進める。見出しだけ読んでいけば、文書の内容と流れがおおよそつかめるようにするのがよい。適切な見出しは、そのまま文書の骨組みになり、おのずから標題と関連し対応するものとなる。どのような順序で情報を得るのが読み手にとって都合よいのかを意識しながら文書を構成する。

 標題が示す主題に応じた見出しとする。読み手が短時間に必要な情報を得られるように工夫する。

例 標題=「報告」→見出し=「報告の概要」

 見出しの文字サイズは本文よりも少し大きめに設定するか、本文のフォントと異なるフォントを使う方法がある。

例 本文は10.5ポイントの明朝体、見出しは12ポイントのゴシック体

(3) 文の書き方については、次のとおりとする。

 一文が長くなると、その構造は複雑になりやすい。そのため、一文を短くすることによって、読み取りにくい文にすることを防ぐことができる。長い文は、句点や接続詞の使用、長い修飾語・修飾節を別文に移すこと等により複数の文に区切る。長い文とは、50字から60字程度以上を目安にするとよい。

 一つの文で扱う論点は、できるだけ一つにする。論点が変わるときには、文を区切った方が読み取りやすい。また、一文の中に主語述語の関係を幾つも作らないようにする。

例 在留外国人数は、約200万人を超えており、中長期的に在留する外国人が増えている。

→在留外国人数は、約200万人を超えている。このうち、中長期的に在留する外国人が増えている。

 一文の中で、並立する情報を三つ以上列挙するときには、箇条書を利用するなどして分かりやすく示す。

例 国語に関する内閣告示には、常用漢字表、外来語の表記、現代仮名遣い、送り仮名の付け方、ローマ字のつづり方の五つがある。

→国語に関する内閣告示には、次の五つがある。

・常用漢字表

・外来語の表記

・現代仮名遣い

・送り仮名の付け方

・ローマ字のつづり方

 日本語では、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」という順で書かれることが多い。この語順を守っておけば、おおむね読み取りやすい文になる。ただし、文を理解する上での条件となるような内容及び強調したい要素を文の最初に置く方が効果的な場合もある。

 主語(「何が(は)」)と述語(「どうする」「どんなだ」「何だ」)との呼応が読み取れるようにする。日本語の文では、主語が省略されることがあるが、それによって誤解が生じることもある。省略されているどうかにかかわらず、主語と述語の関係が明らかに分かるようにする。また、主語は文の途中でできるだけ変えない。

 接続助詞の「が」及び中止法(述語の用言を連用形にして、文を切らずに続ける方法)を多用する書き方は避ける。そうすることで結果的に文は短くなり、長い文になったとしても分かりやすい。

例 委員会では、新方針が示されたが、これに対しては、時期尚早との意見も多く、差し戻すべきであるとの方向で検討が進み、そのまま決定するかと思われたが、反論も出され・・・

→委員会では、新方針が提示された。これに対しては、時期尚早との意見が多く、差し戻すべきであるとの方向で検討が進んだ。そのまま決定するかと思われたが、反論も出され・・・

 「の」「に」「も」「て」等の助詞を連続して使用すると、文が長くなるだけでなく稚拙な印象を与えるおそれがある。

例 本年の当課の取組の中心は・・・

→本年、当課が中心的に取り組んでいるのは・・・

 複数の修飾節が述部に掛かるときには、長いものから示した方が理解しやすい。

例 我が国は、文化遺産国際協力に関する覚書を、文化財の保存修復や国際協力の分野で永年の経験を有するイタリアと締結している。

→我が国は、文化財の保存修復や国際協力の分野で永年の経験を有するイタリアと、文化遺産国際協力に関する覚書を締結している。

ただし、長い修飾節を含む文は、文を分けることで、より読みやすくなることが多い。

例 我が国は、文化遺産国際協力に関する覚書をイタリアと締結している。イタリアは、文化財の保存修復や国際協力の分野で永年の経験を有している。

 「言われる」「述べられる」のように、動詞に「れる」「られる」を付けた受身形の表現は、文の構造を難しくしたり、責任の所在を曖昧にしたりする場合がある。一方で、行為の主体を示す必要がない場合や、行為の対象及び目的を目立たせるために、受身形の使用が効果的な場合もある。

例 「○○とされている」=主張や意見を客観的に見せることができる。

「○○が公表された」=公表した主体よりも公表されたものを目立たせることができる。

なお、「れる」「られる」には「~できる」「(自然と)~になる」といった意味や尊敬を表す用法もある。

 二重否定及びそれに類する表現を用いると、否定しているのか肯定しているのか分かりにくくなることがある。強調したいことを効果的に伝えようとするような場合を除き、なるべく使用しない。

例 ・・・しないわけではない→・・・することもある ○○を除いて、実現していない→○○のみ、実現した

 主語と述語、修飾語・修飾節と被修飾語、目的語と述語など、係り受けの関係がある語は、近くに置くと関係が分かりやすい。同様に、指示語を用いるときにも、指示される内容の近くに置く。

 取り違え及び誤解を防ぐためにも、言葉の係り方によって複数の意味にとれる表現を避ける。

例 所得が基準内の同居親族のいる高齢者(「同居親族」と「高齢者」のどちらが「基準内」であるのか判然としない。)

→同居親族(所得が基準内)のいる高齢者、所得が基準内の高齢者で同居親族のいる者

 読点をどこに打つかによって、文の意味が変わることがある。意図する意味で読み手に伝わるよう読点を打つ位置に留意するとともに、必要な場合には文を書き換える。

例 当課は時間を掛けて課題解決に取り組む団体を支援する。

次のように読点を打つ位置で意味が異なる文となる。

→当課は時間を掛けて、課題解決に取り組む団体を支援する。

→当課は、時間を掛けて課題解決に取り組む団体を支援する。

次のように書き換えることができる。

→当課は、課題解決に取り組む団体に、時間を掛けて支援を行う。

(4) 文書の構成については、次のとおりとする。

 公用文の構成には、いつでも使えるような型があるわけではない。文書を書き始める前に、何を、どのような目的で、どのような根拠(法令、通知、調査・統計データ等)に基づいて、誰に向けて発信しようとしているのか、整理しておく。これらを踏まえて、その都度構成の仕方を工夫する。ただし、定期的に作成する文書等、同じ構成を用いた方が読み手に安心感を与えるものもある。

 文書の結論は、できれば最初の段落で示しておく。最後まで読まないと何を言おうとしているのか分からないような書き方は避ける。最初に主旨を理解してもらった上で、次の段落から、その目的、理由、根拠等、案件の詳細を説明していく。

重要な点を優先して伝えるようにし、具体例、細目等は、後に示すか、分量が多くなるようであれば、別添資料とする。

 通知等の作成は、基本的に現在しようしている既存の文書形式に基づくとよい。多くは、全文、主文、末文の3段で構成される。中心となるのは主文であり、この中で、文書の目的と主旨、相手に求める事柄とその方法を示す。主文だけで十分に必要を満たせるのであれば、全文及び末文は不要である。一方、目的、主旨の背景及びこれまでの経緯等を示す必要がある場合には、前文を置き、また、具体的な事務手続、処理方法等について言及する必要がある場合には、末文を置く。

 書き方の決まっていない文書では、読み手が情報を円滑に受け取れるように提示していく。伝えたいことを優先するのではなく、読み手の立場になって、求められる情報を見極め、整理した上で文書作成に入りたい。特に読み手の利益や不利益につながるような文書では、読み手が進めるべき手順に沿って書く。既存の形式に則して書かれた文書について解説するときなども、元の構成にこだわらず、より伝わりやすくなるよう考えてよい。読み手に対して複数の選択肢を示し、いずれか一つを選んでもらった上で読み進めてもらうような場合には、それぞれの選択肢の内容に重なりがないようにし、迷わせることのないようにする。

例 「上記に該当しない場合、手続は不要です」=する必要のないことも明示することで、読み手の不安を軽減できる。

 文書は、分量の限度を決めてから書き始める。書き連ねたものは、よく見直し、必要性の低い情報は分量を調整する段階で削る。特に複数の主体が書いたものを合体する場合には、あらかじめ分担と分量を明確にしておき、それぞれの限度を守るようにする。

 通知、依頼等の文書で、本文と下記部分とに分けて書く場合(記書き)には、本文中に下記部分を指す「下記」等を用い、本文と下記との間の中央に「記」と記述する。同様に、本文とは別に別記部分を設ける場合には「別紙」、「別記」等を用いる。本文中で後述の内容を指示するような場合には「次の」又は「以下の」を用いる。

(文書の形式)

第18条 文書の形式は、市長が別に定める。

(用紙)

第19条 用紙は、A4判(210×297ミリ)を縦長に用いる。ただし、別に規格の定めのある場合及び特に他の規格の用紙を必要とする場合は、この限りでない。

(その他)

第20条 この訓令に定めるもののほか、努めて次に掲げるものに準拠するものとする。

(1) 法令における漢字使用等について(平成22年内閣法制局長官決定)

(2) その他国の公用文に関する通知、通達

この訓令は、令達の日から施行する。

別表第1(第4条関係)

読み間違えるおそれのない複合の語の名詞

明渡し 預り金 言渡し 入替え 植付け 魚釣用具 受入れ 受皿 受持ち 受渡し 渦巻 打合せ 打合せ会 打切り 内払 移替え 埋立て 売上げ 売惜しみ 売出し 売場 売払い 売渡し 売行き 縁組 追越し 置場 贈物 帯留 折詰 買上げ 買入れ 買受け 買換え 買占め 買取り 買戻し 買物 書換え 格付 掛金 貸切り 貸金 貸越し 貸倒れ 貸出し 貸付け 借入れ 借受け 借換え 刈取り 缶切 期限付 切上げ 切替え 切下げ 切捨て 切土 切取り 切離し 靴下留 組合せ 組入れ 組替え 組立て くみ取便所 繰上げ 繰入れ 繰替え 繰越し 繰下げ 繰延べ 繰戻し 差押え 差止め 差引き 差戻し 砂糖漬 下請 締切り 条件付 仕分 据置き 据付け 捨場 座込み 栓抜 備置き 備付け 染物 田植 立会い 立入り 立替え 立札 月掛 付添い 月払 積卸し 積替え 積込み 積出し 積立て 積付け 釣合い 釣鐘 釣銭 釣針 手続 問合せ 届出 取上げ 取扱い 取卸し 取替え 取決め 取崩し 取消し 取壊し 取下げ 取締り 取調べ 取立て 取次ぎ 取付け 取戻し 投売り 抜取り 飲物 乗換え 乗組み 話合い 払込み 払下げ 払出し 払戻し 払渡し 払渡済み 貼付け 引上げ 引揚げ 引受け 引起し 引換え 引込み 引下げ 引締め 引継ぎ 引取り 引渡し 日雇 歩留り 船着場 不払 賦払 振出し 前払 巻付け 巻取り 見合せ 見積り 見習 未払 申合せ 申合せ事項 申入れ 申込み 申立て 申出 持家 持込み 持分 元請 戻入れ 催物 盛土 焼付け 雇入れ 雇主 譲受け 譲渡し 呼出し 読替え 割当て 割増し 割戻し

注 同様の漢字を使う複合の語でも、動詞については、送り仮名の付け方の本則に従って書くものとする。

例 入れ替える 売り上げる 仕分ける 問い合わせる 申し合わせる 呼び出す

津山市公用文規程

令和5年3月22日 訓令第3号

(令和5年3月22日施行)